顕彰事業

第10回表彰 授賞式の模様:小山薫堂氏受賞挨拶

本日は、こんな素晴らしい賞を頂いてしまいまして、嬉しさの前に申し訳なく思っております。でも、本当にありがとうございます。

まず焦りがあります。というのは、業界・各界のドンの方から、ドンと言ったらあまり表現良くないかもしれませんが、こういう賞を頂く事が少し早過ぎると、思っているのです。今のVTRを見ながら、「この程度の仕事では、内容の濃いVTRは作れないよ」、などと思いながら制作されたのではないかと考えていました。あまり素材もなく、すごい苦労をされたのだろうなと推察し、申し訳なく思っています。本当はもっともっと頑張って、使いきれないほどの充実した実績を残した上で頂くべき賞ではないかとも思っています。それを今頂いてしまったということにまず、申し訳なさと自分なりの焦りを感じております。こういう賞を頂いてしまうと進歩が止まってしまう恐れもあるので、これに溺れることなくもっと謙虚になって頑張らないといけないなと思いました。


そして、もう1つ。実は、僕は20代の頃からプロデューサーと呼ばれる人たちが大嫌いでした。若い時は、「プロデューサーと呼ばれているけれど、自ら手を動かすことは何もないのでは」と思っていました。「実際の作業をやっている現場の苦しみは分かっているのか」という目で見ていたのです。気が付いてみれば自分がプロデューサーと呼ばれる立場になっていました。そうなって「プロデューサーって本当に大変な職業で、色んな人をまとめるという重要な職なんだ」と実感しています。

数年前、京都の料亭の経営を引き継ぐことになった時に、「和(わ)」とはなんだろうと考えさせられました。しばらく考えて行き付いたのは、和(わ)というのは、人を和(なご)ますことであり、人を和(あ)えるこで、和(やわ)らげることなんだ。色んなことを和(やわ)らげる、それが「和(わ)」なんだと気づきました。そのとき、これはプロデューサーの使命でもあるなと、思いました。

日本人には、プロデューサー気質の人が沢山います。ですから、この国、つまり日本そのものが、これから、世界におけるプロデューサー的な役割を担っていくことで、世界全体の調和を保っていかなければいけない。日本は、そういう国にならなければいけないと改めて思っております。私においても、これを機に何とかするというよりは、これを機にもっと謙虚になり、色々な方からお声かけして頂けるような、そういう人間になろうと思います。これからもどうぞよろしくお願いします。

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