顕彰事業

第12回渡辺晋賞特別賞:川村元気氏

【第12回渡辺晋賞特別賞】
川村 元気(かわむら げんき)氏

映画プロデューサー・小説家
1979年横浜生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業。

『授賞理由』
日本のアニメーション作品が海外で大ヒットすることは、新しい感動です。あなたは、映画・映像作品を企画段階から立ち上げ、「電車男」「悪人」「バケモノの子」など、斬新な着眼点を具現化した作品を手掛け、映画業界の活性化に貢献してきました。特に、昨年の映画「君の名は。」は、世代を超えた支持を受け、映画の主人公である瀧と三葉が訪れた場所に実際行って同じ角度で写真撮影をする“聖地巡礼”というブームを喚起し、実際に飛騨や広島などに多くの人が訪れています。また、起用したバンド“RADWINPS”の主題歌「前前前世」やサウンドトラックは昨年を代表する音楽作品に成長しました。このような社会現象ともいえる波及効果や流行の発信を成し遂げるためには、幅広い文化性を持っていることが必要だと考えます。その可能性と才能の発露は、渡辺晋の目指した、大衆芸能の振興や文化向上に寄与するものです。そこで、さらなる活躍への期待を込め、今年度の「渡辺晋賞特別賞」を贈ります。

『略歴』
『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『寄生獣』『バケモノの子』『バクマン。』『君の名は。』『怒り』などの映画を製作。2010年、米The Hollywood Reporter誌の「Next Generation Asia」に選出され、翌2011年には優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。映画『君の名は。』は、興行収入249億、観客動員数1,900万人を超え記録更新中。第42回ロサンゼルス映画批評家協会賞 長編アニメーション賞を受賞し、日本映画ランキング2位を記録する大ヒットとなる。小説家としては、2012年には初小説『世界から猫が消えたなら』を発表。同書は本屋大賞へのノミネートを受け、130万部突破の大ベストセラーとなり、佐藤健、宮崎あおい出演で映画化された。2013年には絵本『ティニーふうせんいぬのものがたり』を発表し、同作はNHKでアニメ化され、2017年8月には映画も公開予定。その後、絵本『ムーム』を発表。同作は『Dam Keeper』にて米アカデミー賞にノミネートされ、ピクサーのアートディレクターとして数々の作品を手掛けるRobert Kondo&Dice Tsutsumi監督によりアニメ映画化され、全世界で32を超える映画賞を受賞した。2014年、山田洋次・沢木耕太郎・杉元博司・倉本聰・秋元康・宮崎駿・糸井重里・篠山紀信・谷川俊太郎・鈴木敏夫・横尾忠則・坂本龍一ら12人との仕事の対話集『仕事。』を発表し大きな反響を呼ぶ。一方でBRUTUS誌に連載された小説第2作『億男』を発表。同作は2作連続の本屋大賞ノミネートを受けベストセラーとなり、中国での映画化が決定した。近著として養老孟司、若田光一、川上量生、佐藤雅彦、伊藤穣一ら理系人との対話集『理系に学ぶ。』、ハリウッドの巨匠達との空想企画会議本『超企画会議』など。3作目となる最新小説『四月になれば彼女は』を2016年11月4日に文藝春秋より発売し、約1ヶ月にして12万部を超えるベストセラーとなった。

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