財団の概要

平成26年度事業報告書(平成26年7月1日〜平成27年6月30日)

一般財団法人渡辺音楽文化フォーラムは、日本の音楽文化発展及び音楽芸能振興に寄与すべく、平成26年度の事業計画に沿って展開した。

(1)主催事業

2014年5月にシンガポールにおいて“Music Matters 2014”が開催されたが、このコンベンションの目玉として登場した、ユニバーサルのCEOであるマックス・ホール氏の講演において、「日本の業界は、サブスクリプションサービスを大切に育てなければならない。デジタルとフィジカルを融合させたチャートを確立させなければならない。」と述べ、「戦後360度ビジネスをいち早く確立させ、日本の音楽産業を世界二位に育てた“渡辺晋のスピリット”を業界人が再び持たなければならない。」と説き、日本の音楽業界が直面している危機について講演した。この講演を機に、渡辺晋の行った360度ビジネスや先行性などが、長らく低迷を続けている音楽業界に向けて、何らかのメッセージにならないかと常任委員会において議論を重ねた結果、“パネル・ディスカッション”を企画した。
渡辺晋の下で働いた人、また共に仕事をした方、そして渡辺晋のビジネスについて執筆された方など、4名のパネラーに当時の生のやり取りを証言的に語ってもらい、「エンターテインメント・ビジネスを築いた男 渡辺晋 〜その先見性と人間性を解く〜」と題して、一般社団法人日本音楽出版社協会と共催した。
当日は、音楽出版社、音楽事業者、関係団体(日本音楽著作権協会、日本音楽事業者協会、日本レコード協会、音楽産業・文化振興財団)などから約200名の参加があり、約1時間30分にわたるパネル・ディスカッションは熱心に聴講された。

(2)助成事業

・一般公募助成
今年度は、次の2事業への助成をおこなった。
 @ 小空間オペラTRIADE in 風の丘HALL「千葉ジュニアオペラ学校」に対する助成。
子ども達の夏休み期間を利用して、オペラ界のプロによる歌や演技の指導を通して、国際社会において自己表現能力を発揮出来る人材を育成する事を目的として、公演に向けた指導が行われた。共に参加した保護者からはオペラという総合芸術への造詣を深められ、イタリア語にも親しむ事が出来、子供の能力を無限に感じる機会になったと評された。

 A フィール・ウインド・オーケストラ「第16回定期演奏会」に対する助成。
東日本大震災被災地の音楽事業支援を目的に助成を行った。当日は729名の入場者があり、今回は演奏の間に語りや字幕を表示するなどの演出的工夫を試み、聴く人により分かり易く楽曲を表現したところ、来場者から大変な好評を得たと報告があった。

・年間助成
「エンジン01文化戦略会議」に対する助成。
本会議が掲げる、松明の火を分けるように、会員の知を様々な形で様々な地域、人々に提供していくことによる社会貢献を重んじるという理念に賛同し、助成を行っている。
エンジン01最大のイベントであるオープンカレッジは、今回で13回となり初の試みとして、富山市と高岡市の二箇所で開催された。会期は、『オープンカレッジ in 富山』が2015年3月27日(金)〜29日(日)に、『オープンカレッジセミナー in 高岡』が2015年3月29日(日)〜30日(月)の日程で行われ、「女はつよいよ、男はつらいよ 〜触れて、感じて、富山」をテーマに、全講座数は133講座、夜楽店舗数は35店舗、参加した講師は177名と最大規模となり、総入場者数も過去最高の21,773名を動員した。

(3)顕彰事業

渡辺プロダクション創業50周年を機会に創設された、渡辺晋賞も今年度で10回を迎えた。栄えある第10回の受賞者には、小山薫堂氏が選出され3月2日に授賞式を実施した。
小山薫堂氏は、放送・映画・舞台などでの脚本・演出や制作、そして町おこしイベントの実施というように、エンターテインメントの広い分野でマルチなプロデュースの才能を発揮されている。また、見事な手腕で依頼された案件をスマートに具現化し、世の中に浸透させ、仕掛けを楽しませながらブームへと昇華させている。さらに、その過程で才能の組み合わせや潜在能力を発揮することで人間力を活用し、渡辺晋の業績の一つである人気者の発掘・育成といった成果も示している。
これら数々の業績をたたえ、第10回渡辺晋賞の受賞となった。
授賞式当日は、ゲストに石田純一氏や、小山氏が考案した“くまモン”がお祝いに駆け付け、来賓には文化庁はじめ国会議員、エンターテインメント業界の関係者やマスコミ関係の方々など約150名が出席し、当財団理事長渡邊美佐より小山薫堂氏にトロフィーと副賞100万円が贈呈された。

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