財団の概要

平成27年度事業報告書(平成27年7月1日〜平成28年6月30日)

一般財団法人渡辺音楽文化フォーラムは、日本の音楽文化発展及び音楽芸能振興に寄与すべく、平成27年度の事業計画に沿って展開した。

(1)主催事業

今年度も主催事業の実施内容について、常任委員会において活発な議論が行われた。
検討された主な内容としては、現在音楽業界が抱えている諸問題である「サブスプリクションの今後の動向」、「オリンピックを契機に日本音楽をどうアピールするか」「TPP協定における著作権法」などのテーマに関して、現状や今後の動向、業界の注目度について精査、検討を重ねてきた。
TPP協定により著作権法などが変更されるため、法案成立次第しっかり把握すべきと判断し“TPP協定における著作権法”をテーマに選んだ。当初法案成立は5、6月という見通しで準備していたが、法案審議そのものが次の臨時国会に延期されてしまった。タイミングが重要と考え、このテーマは次年度へ持ち越し、今期開催のテーマを検討したが、講演者などへの交渉にあまりにも時間が無く今期の主催事業を断念せざるを得なかった。

(2)助成事業

・一般公募助成
音楽文化発展のために団体や個人が行う事業を対象として、一般公募の中から助成事業審査委員会において意見を取りまとめ、理事会の承認を得て、次の事業へ助成を行った。

事業名:千葉ジュニアオペラ学校2015
オペラを通して、子供と親たちへの音楽による地域社会への貢献を目的に活動する千葉ジュニアオペラ学校に対し、昨年に引き続き2回目となる助成を行った。
昨年にも増して千葉市内の募集を拡大し、東京都内からの参加もあり、より広い地域からの親子の参加となった。7月中旬より子供たちの夏休みをはさみ10月中旬までの3カ月間の日程で、オペラの授業、稽古、本番出演などのプログラムが組まれた。プログラム終了後のアンケートには、子供たちから「オペラへの興味がどんどん湧いてきて充実した夏休みになった」、一緒に参加した親からは「課題に取り組む子供の成長を実感した」との感想が寄せられた。またこの活動の模様は、地元紙千葉日報にも掲載された。

・年間助成
異分野の専門家が自由な意思を持って集まり、新時代の文化を創造していくことを目的とし、様々な形で様々な地域や人々に提供し社会貢献を推進して行くという「エンジン01文化戦略会議」の理念に賛同し、助成を行っている。
今年度も年間を通して各委員会や「セミナー」「オープンカレッジ」「エンジン塾」「オプショナル・プログラム」などの活動が展開された。
なかでもエンジン01最大の模様し物であるオープンカレッジは、今回で14回目となり、宮崎県延岡市で開催された。会期は、2015年11月21日(土)〜23日(月・祝)の日程で行われた。「たべる のべる のべおか 〜腹いっぱい、知恵いっぱい〜」をテーマに、全講座数95講座、夜楽店舗数は23店舗、参加した講師は123名、総入場者数は、17,000名を動員した。
大会テーマである“食”を、美容、歴史、性、脳科学、映画、世界遺産等、様々な角度から論じ、延岡の食、観光、地名、九州人気質にフォーカスし、初めての試みとして舞台版人狼ゲームの実施等、旬のコンテンツを組み合わせて、内容の充実が図られ、好評を博した。

(3)助成事業

第11回の渡辺晋賞授賞式を平成28年3月2日に実施した。今回の受賞者は、「シス・カンパニー」の代表で演劇プロデューサーの北村明子氏であり、初の女性受賞者となった。
氏は、既存メディアやパッケージ文化の混迷が続く昨今のエンターテインメント環境にあって、演劇界で永年に亘り、手がけた全ての公演に収益を出すという見事な実績を持つ演劇プロデューサーであり、また多くの個性豊かな実力派俳優のマネージメントを行う「シス・カンパニー」の経営者でもある。
「シス・カンパニー」は、高品質の舞台制作と合わせ、映像・伝統芸能・作家・演出家などの若い才能の発掘・育成を行っている。これらの活動と常に演劇ファンへの新鮮な刺激を与え続けていることに対して、第11回の渡辺晋賞が贈られた。
授賞式当日は、ゲストとして三谷幸喜氏と大竹しのぶ氏がお祝いに駆け付け、来賓には文化庁はじめ国会議員、エンターテインメント業界の関係者やマスコミ関係の方々など約150名が出席し、当財団理事長渡邊美佐より北村明子氏にトロフィーと副賞100万円が贈呈され、北村明子氏から「裏方の仕事に光を当てる、非常に有意義で重みのある賞をいただけて光栄です」との受賞挨拶があった。

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