財団の概要

平成28年度事業報告書(平成28年7月1日~平成29年6月30日)

一般財団法人渡辺音楽文化フォーラムは、日本の音楽文化発展及び音楽芸能振興に寄与すべく、平成28年度の事業計画に沿って展開した。

(1)主催事業

事務局はじめ常任委員会にて、今期開催のテーマを検討したが、各音楽事業団体とのテーマの差別化が困難であるなど、現在の音楽・芸能業界に効果的なテーマが無かったため、今期開催を断念した。

(2)助成事業

・一般公募助成
音楽文化発展のために団体や個人が行う事業を対象として、一般公募の中から助成事業審査委員会において意見を取りまとめ、理事会の承認を得て、次の事業へ助成を行った。

事業名@:胎児から乳幼児へおくる四季のわらべ歌
季節にふさわしいわらべ歌を、身体表現と共に、妊婦や乳幼児の親子で体感して頂き、作品上演後に、演者やサポーターと共に、子育ての話やわらべ歌の意義などを話す交流会行うなど、子育てを通して子どもたちの豊かな人格を育むことに寄与する事業への助成を行った。
全開催日程を通して、延べ300名以上の親子の参加があり、参加者からも「子育てをすることが出来る喜びを思い出すことが出来た。」や「子どもの楽しんでいる姿が嬉しかった。」などの感想を頂き、好評であったことが報告されている。

事業名A:トークぷらすライヴ〜音楽への思い〜 Vol.10
録音の世界で活躍する演奏家を中心に構成された会で、録音物だけでなく生演奏の醍醐味に多くの方に触れて頂き、また音楽愛好家の方々へはより質の高い音楽の楽しみを知る機会となる、音楽振興事業への助成を行った。
ゲストが技術を駆使して書き下ろした音楽は、観客のみなさんから大変好評を頂き、「生」の音楽に接して頂く貴重な機会となったことが報告されている。

・年間助成
異分野の専門家が自由な意思を持って集まり、新時代の文化を創造していくことを目的とし、様々な形で様々な地域や人々に提供し社会貢献を推進して行くという「エンジン01文化戦略会議」の理念に賛同し、助成を行っている。
今年度も年間を通して各委員会や「セミナー」「オープンカレッジ」「エンジン塾」「オプショナルプログラム」などの活動が展開された。
なかでもエンジン01最大の催し物であるオープンカレッジは、今回で15回目となり、茨城県水戸市で開催された。
会期は、2017年2月17日(金)〜19日(日)の日程で行われた。今回は、「みとれる水戸 〜みつめる歴史、みつける未来。」をテーマに、全講座数116講座、夜楽店舗数は25店舗、参加した講師は156名、総入場者数は、18,000名を動員した。
講座は硬軟とりまぜ、明治維新に多大な影響を与えた水戸藩の歴史に始まり、女性、婚活、映画熱等で水戸にフォーカス、日米関係、テロ、LGBT、東京五輪等の旬なテーマも取り上げ、ピロリ菌検査、脊髄再生治療、人工知能等、未来につながるテーマまで大変充実した内容となった。
スペシャル企画である「みとれるコンサート」や「第1回水戸音楽祭 〜秋元康プロデュース 輝け!エンジン01大カラオケ大会」も好評を博し、チケットも完売となり、成功のうちに無事終了したことが報告されている。

(3)助成事業

第12回の渡辺晋賞授賞式を平成29年3月2日に実施した。今回は、渡辺晋賞に、ぴあ株式会社代表取締役社長の矢内廣氏と、特別賞に映画プロデューサーで小説家の川村元気氏のお二人が受賞された。
矢内廣氏は、業績の一つとして、情報誌「ぴあ」の創刊があり、映画・音楽・演劇・スポーツなど、マイナーなエンタメ情報を顕在化させることで、潜在的な需要を掘り起こしたこと。もう一つは、「チケットぴあ」のスタートにより、新しい業態を出現させ、エンタメファンの利便性を大きく向上させたこと。それにより、人々が街に出て楽しむ行動の活性化や、興行マーケットの飛躍的な拡大に貢献されている。そして、プロデューサーやアーティストを励まし、活躍のチャンスを与える場を提供し続けており、「ぴあフィルムフェスティバル」は、すでに110名以上のプロの映画監督を輩出し、映画界の基礎的な活力源となっている。また、継続的な被災地支援活動など、新しい業態を創出したことにとどまらず、社業を通じて社会に貢献し続けようとするその姿勢が、日本の文化発展のキーマンであることを讃えると共に、さらなる活躍を期待し、第12回の渡辺晋賞が贈られた。
川村元気氏は、日本のアニメーション作品の海外での大ヒットの立役者であり、映画・映像作品を企画段階から立ち上げ、斬新な着眼点を具現化した作品を手掛け、映画業界の活性化に貢献している。特に、昨年の映画「君の名は。」では、ストーリーの舞台を巡る“聖地巡礼”というブームを喚起し、多くの人の行動を呼び起こした。また、起用したバンドの主題歌やサウンドトラックは、昨年を代表する音楽作品に成長したことなど、社会現象ともいえる波及効果や流行の発信を成し遂げるその可能性と才能の発露は、大衆芸能の振興や文化向上に寄与する。さらなる活躍への期待を込め、今年度の渡辺晋賞特別賞が贈られた。
授賞式当日は、第11回渡辺晋賞受賞者である北村明子氏のほか、ゲストとして野村萬氏、倍賞千恵子氏そして神木隆之介氏がお祝いに駆け付け、来賓には文化庁はじめ国会議員、エンターテインメント業界の関係者やマスコミ関係の方々など約150名が出席し、当財団理事長渡邊美佐より両氏にトロフィーと副賞が贈呈され、矢内廣氏からは「私の人生におきまして、最高の勲章をいただきました。」と、川村元気氏からは「これからもこの賞に恥じないように、映画を作っていきたいと思います。」との受賞挨拶があった。

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